月刊コラム

物の考え方

物の考え方

 

カウンセリングの現場では、対人関係では嫌われないように、仕事ではミスしないようになど、あらゆることに怯える自分が嫌いで考え方を変えたいという方が多くいらっしゃいます。

 

ここでOSウォーコップというイギリスの哲学者が示した動物の行動の2つの原則を紹介します。

 

毎朝、同じコースをランニングをしている二人に尋ねました。

「なぜあなたは走っているのですか? どんな気分ですか?」

 

Aさん「病気になりたくないから走っているのさ。楽しくなんかないよ」

 

Bさん「走りたいから走っているのさ。そりゃ楽しいよ」

 

前者は「本当はやりたくないけど、しておいた方が良い」行動です。

このような敵から逃げるなど危機的な状況を避けるため、将来が不安だから何か「する」というAさんの行動を「死の回避行動」と呼びました。

一方後者は、大地を自由に走る「しいたいからする」生き生きとした純粋な行動です。Bさんの行動を「生きた挙動」と示しました。

 

簡潔に言えば人間の行動の動機には「△△したくないから〇〇している」のか「したいから〇〇している」の2つの原則があるということです。

 

「死の回避行動」は危機的状況を回避する合理的な考え方です。

しかしとらわれると次々と死の回避行動が招かれ本来の目的からは外ずれて、徐々に自由を失うことになります。

 

例えば、仕事でミスをして上司に怒られたとします。その危機を回避するために「何度も書類を見直す」「上司の顔色をうかがう」「無難な発言しかしない」「能動的な仕事や関わり方はしない」など、さまざまな死の回避行動をとることができます。しかし過度な死の回避は不安と恐れを招き自由が失われてしまいます。これは人の心が十分に機能していない状態と言えます。

 

漠然とした不安に悩まされているクライエントのカウンセリングは、「死の回避行動」にとらわれている状態から「生きた挙動」が機能する状態になって心に余裕をもってもらえるよう支援をしていきます。

出典;「ものの考え方-合理性への逸脱」講談社学術文庫(628)より

投稿日時:2019年12月29日

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