月刊コラム

【HSP】って知っていますか?

 

 

 

 

 

 

カウンセリングの場で「私はHSPだと思います。」というクライエントさんがたまに来られます。最近この「繊細さん」と呼ばれる人たちを題材にした書籍が増えているからでしょうか。

 

1.HSPとは

HSPとは、英語表記で【Highly Sensitive Person ハイリー・センシティブ・パーソン】

のことをいいます。

 

日本語で言い直すと、

・人一倍繊細なひと

・とっても繊細で感受性が強いひと

・感受性が強くて様々なことに対し敏感なひととされています。

(正式な日本語名称は定められていないようです)

 

 

現在、HSPは精神医学上の病名・診断名ではなく、“持って生まれた気質・性質”

として考えられています。

 

DSM(精神障害の診断および統計マニュアル)というものをアメリカの精神医学会が発行しており、

日本においてもこれを診断時に大いに活用しているのですが、現在のところHSPの記載はありません。

ただし、このDSMは現在第5版、今後も更新改訂されるため、2020年現在の見解として述べることを

ご理解ください。

 

 

2.あなたの不調はHSPから来てるかも?

 

さてさて、このHSPについてここで紹介しているのはなぜか。

それは、

・よくわからない不調の背景にHSPがある

・HSPの方の多くが「うつ」を併発しやすい

・「うつ」を主訴に相談される中でHSPが分かる

などのケースが実際に多いからです。

 

あなたもHSPに当てはまるかも?

あなたの身近な人がHSPの傾向があるかも?

これらを知ることで、「ちょっと楽になるヒント」が見つかる可能性があります。

そんなわけで、ヒント探しのためにも、読み進めてもらえたらなと思います。

 

3.基準がないから分かりにくい

 

ところで、HSPってどんなひとのことなのか、まだピンと来ませんね。

 

・人一倍繊細なひと

・とっても繊細で感受性が強いひと

・感受性が強くて様々なことに対し敏感なひと

など紹介しておきながら、ですが、

「人一倍」とか「強い」だなんて、そもそも基準値が不明です。

 

そうなんです、こころのことは、他者比較が難しいのです。

「血中コレステロール値が〜%以上はヤバイよ!」のような基準を示すことができず、

感受性が強いかどうかなんて実は厳密には分からないのです。

 

(確かに、○点以上で〜の診断に該当、という数値の基準を設けたものもありますが、

その回答自体も主観によるところが大きかったりします。)

 

ですので、実際の例をみながら、

「これくらいを“HSP”と言うんだな」と知っていただくこととします。

 

4.HSPの一日・・・

 

それでは、返ってわかりにくいかも・ですが

たとえば、ある中学2年生の女の子を例に1日を見ていきましょう。

 

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

 

5:30

外が少し明るくなり、鳥や猫の鳴き声が聞こえてきました。新聞配達のバイクの音、

車の行き交う音も、耳に入ってきます。

ベッドの中でぼんやりしながら、今日1日の予定を考えます。

目覚まし時計の音が苦手なので、早めに目が覚めているのは、ありがたいことです。

 

6:00

起床。ベッドを出て、リビングへ。お父さんとお母さんも起きてきて、3人で朝食です。

実は、お父さんが毎朝のむコーヒーの香りが苦手です。でも、いつも優雅そうにコーヒー

を入れるお父さんに、「臭い、苦手」とはとても言えません。

平気な顔を装いながら、パンをかじります。朝食の後は、洗面や着替え、持ち物の確認をします。

今日の髪型はこれでおかしくないだろうかと、鏡を何度も確認してから「お母さん、どうかな?」

と尋ねます。お母さんは洗濯物を干す忙しそうな手を止めて、「可愛いわ」と言います。

「本当かなあ・・・今のお母さんの言い方、ちょっと適当だったのでは?」

心には小さな疑念が生まれます。でも、忙しいお母さんにもう一度尋ねることは躊躇われます。

もやもや、とした気持ちを抱いたまま、家を出る時間になりました。

 

7:30

電車で1時間ほどかけて私立の女子校に通っています。

通学に時間がかかるけれど、自分で選んだ学校なので文句を言ったことはありません。

でも本当は、かなり苦痛を感じる1時間です。

駅の人混み、満員電車、いろんな声や音、香水や汗の匂い、毎日耐えがたい1時間を経て、

学校に到着します。

この中学校に入学するまで、電車がこんなにも苦痛な空間だと知りませんでした。

気づいた時にはもう遅く、「実はしんどい」とは誰にも言えないまま、

なんとか通っています。

 

8:30

学校到着。苦痛な電車から解放されて、学校の校門をくぐる時は、

いつも清々しい空気を吸える気がします。でもここからも、ちょっとしんどい。

教室に着くと、クラスメイトや先生の何気ない言動が心をチクチク刺します。

AちゃんがBちゃんの悪口を言うのが聞こえてしまったり、

Cちゃんが先生に怒られたり、Dちゃんに意見を求められてもEちゃんの気持ちを思うと、

どうしていいか分からなかったり・・・。

自身が傷つく何かがなくても、周囲の誰かが傷つく出来事があると、とても耐えられません。

特に、担任の先生が教室でFちゃんに対して怒鳴った時には泣いてしまい、

クラスの皆から驚かれました。

それ以来、教室内では泣くのを我慢して、帰宅後に「お母さん、聞いて」と泣きながら話すのですが、

お母さんも「あなたが怒られたわけじゃないんだよねぇ?」と、少し不思議そうにしています。

 

15:00

放課後、友達と一緒におしゃべりをしながら駅まで行きます。この時間もまた、苦痛なものです。

友達の話題を「なんで今その話をするのかな?」

「これは私に対して、〜という意図があるのかな?」

「私はどう答えるべきなのかな?」など深く考えてしまい、

純粋に会話を楽しむことができません。笑顔で相槌を打ちながら、

差し障りのない返答をして、友達と別れた時には大きなため息が出ました。

 

17:00

帰宅後、どっと疲れて、しばらくソファーで横になります。

横になりながらもまだぐるぐると、友達の話が頭から離れません。

それでも少し落ち着くと、学校の出来事をお母さんに話したり、

自分の部屋で読書したりします。読書は好きですが、小説は登場人物に感情移入して号泣疲れます。

歴史物はもっと詳しく知りたくて調べ物疲れをしたりと、何をやっても疲れてしまいがちです。

勉強も好きですが、1つの分野を深掘りしてしまい、

ハッと気づくと長時間没頭していることがよくあります。

すごく詳しい分野があるものの、テストで高得点には結びつかず、

「いつも熱心に勉強してるのになあ」とお父さんがぼやきます。

 

20:00

夕食の後、お風呂の時間にはいつも「人はなぜ生きているのか」「隣の猫は幸せだろうか」など哲学的

なことに思いを巡らせます。

こんな話は、友達とはできません。

湯船につかりながらそんなことを一人でゆっくり考える時間が至福のひと時です。

 

21:30

お気に入りの寝具に身をおさめ、「明日は穏やかな1日でありますように」と

祈るように目を閉じて、就寝します。

 

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

 

5.苦痛だけど、すごいこと

 

1日にお付き合いくださり、ありがとうございました。

 

読みながら「わかる〜」「私も同じだ」と思われた方、HSPの傾向がありそうです。

「いやいや、気にしすぎでしょ」「そこは楽しもうよ」と思われた方は、

HSPの傾向はあまりないでしょう。

 

 

「過敏さ」「繊細さ」は、他者と比べる明確な基準はありませんが、

何よりも「本人の苦痛があるかないか」が重要なポイントです。

 

「コーヒーの匂いが好きではないが、別に気にしてない」場合と、

「コーヒーの匂いが苦手で、実はかなり耐えている」場合では、

後者の方の過敏であると言えます。

 

「友達が先生に怒られたらけど、私は関係ないからね」と思える場合と、

「友達が先生に怒られていて、友達がかわいそうで仕方ない」と思う場合では、

後者の方が繊細であると言えます。

 

同じ物事を見聞きしたり体験したりした際に、

“何かしらの苦痛、もやもや感、ざわざわ感“が多くなってしまうのがHSPの特徴です。

 

でも、悪いことばかりではないはずです。

「適当に流すことが苦手」「いちいち気にしちゃう」というよりも、

「ひとつひとつをとっても大切にする」と考えると、すごく素敵な性質です。

またHSPの傾向性を持っている方は、物事を本質的に物事を捉えるのが得意で、

かつ共感性が非常に豊かであるという特徴があります。

HSPって、誇るべき性質なのです。

 

 

6.うまく付き合うために

 

HSPは、先にも述べた通り、「病気」ではなく「性質」とされています。

つまり、「治す」ではなく「うまく付き合う」ことも必要です。

 

HSPの皆さん、その性質を誇らしく思い、うまく付き合うために、

ぜひ私たちを頼ってください。

 

・本当はすごく苦手なこと

・実は気になって仕方ないこと

・ひとつひとつ大事にしてきたこと

・誰にも言えないまま一人で抱えてきたこと

・いつまでも忘れられず心にわだかまっていること

・かつて人に話して驚かれた経験から、もう言わないと決めていること

 

これらをお聞かせいただくのも、私たち心理師の役割です。

 

日々の繊細な心の動きは同じでも、

・安心して話せる人がいる

・否定せずに聞いてくれる人がいる

・どんなこともきちんと受け止めてくれる人がいる

・全く変わらないわけではなく、感覚を修正ができるところも多分にあります。

という公認心理師との出会いを手に入れると、「なんだか楽になった」そうですよ。

 

ぜひ、遠慮なく、思いっきり、銀のすずPremiumを頼ってくださいね。

 

 

投稿日時:2020年8月25日

ご予約はこちらから