アダルトチルドレン(AC)へのカウンセリング

アダルトチルドレンとは

 

アダルトチルドレン(AC)は、信田さよ子氏によって「現在の自分の生きづらさが親との関係に起因すると認めた人」[i]と定義づけられました。もともとは「アルコール依存症の親に育てられた子ども」を意味する「Adult Children of Alcoholics」の略称として用いられていましたが、現在ではアルコール依存症の親に限らず、

 

・親が薬物やギャンブルに依存している

・両親の喧嘩が絶えない

・暴言や暴力を繰り返す

・子どもに関心がなくネグレクト(放任)状態になっている

・過度な期待や干渉で子どもの人生を支配する

 

といった家族の機能を果たしていない「機能不全家族」で育てられた結果、成人してもなお生きづらさを抱える方を総称する言葉となっています。

 

また、アダルトチルドレンは医学的な診断名ではありません。「私はアダルトチルドレンだ」と認めた人は全て「アダルトチルドレン」として扱われます。

アダルトチルドレンの生きづらさは、親に自分の心や身体、あるいは人生を奪われることで生じます。そのため、自分で自分を「私はアダルトチルドレンだ」と定義づけることは、親から選択・決定する権利を取り戻し、自分の人生を生きる大切な足掛かりとなるのです。

参考文献

信田さよ子(1997)アダルトチルドレン―私の物語をつくり直す― 日本家政学会誌 Vol.48 No.9 p823~p828. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej1987/48/9/48_9_823/_pdf/-char/en

 

アダルトチルドレン(AC)は、「幼少の頃に、望ましくない養育環境により、何らかのトラウマを負ったと考えている大人」の総称として使われている言葉です。

 

親は人であり未熟ですので、親の悪い影響を全く受けずに育つ子供はいないと思います。ここでの望ましくない養育環境とは、両親の不仲、アルコール、ギャンブル依存、ネグレクト(放任)、虐待(言葉を含む)、過度な期待や干渉、といった親の元で育つ家庭環境を指します。

たとえば、両親との離婚を経験した20代~40代の人がやってきます。この方々の中に両親の離婚の影響がまだ残っていることがはっきりとわかります。

悪影響は通常、離婚そのものではなく、離婚に関連する出来事の記憶から生じます。これは幼年期に両親が絶えず互いに争い、苦しむ親の姿を日常的に体験したためです。

そのような状況は、子供が両親に迷惑をかけるべきではないという感覚を生み出すかもしれません。場合によっては、痛みの原因は親の発言です。母親が父親についての愚痴を言い聞かせたり、「あなたがいなかったらもっと幸せになれていた」と子供に言ったりするなど。

大人になっても、そういう声を聞いて育った子どもたちは家庭や外の世界も安全な場所だとは思えずに、苦しみ続けます。これらの経験はどれも、自身と全世界について否定的な信念を生み出し、目には見えない生き辛さとして苦しみ続けます。


アダルトチルドレンの担う役割

アダルトチルドレンは、機能不全家族で生き抜くために、様々な役割を担います。

アメリカのセラピストであるクリッツバーグ氏は、1985年に出版した『アダルトチルドレン・シンドローム――自己発見と回復のためのステップ』[i][ii]で、アダルトチルドレンが担う役割を次の6つにまとめています。

 

■ヒーロー

家族や社会の期待に応え、テストやスポーツで優秀な成績を残すことで、家族を喜ばせて雰囲気を良くします。

しかし、「完璧でなければならない」という思いが強すぎるあまり、ちょっとした失敗や挫折で強い自己否定感に陥り、立ち直れなくなってしまいます。

 

■スケープゴート

「この子さえちゃんとしてくれたら」と思われるような問題児の役割を果たすことで、本当に家族が抱えている問題から注意を反らし、不安定な家族が維持することを助けます。

しかし、問題行動を起こすことでしか自分の存在意義を感じられなくなるため、人間関係でトラブルを起こすことがしばしばあります。

 

■ロストワン

静かで目立たない子どもです。家族から距離を置き、ひっそりと生きることで、傷つけられる危険性から自分の心を守ろうとします。

自己主張して目立つと傷つけられると感じているため、自分の考えや気持ちをうまく表明できなくなってしまいます。

 

■クラウン

家族内に緊張が走ると、冗談を言ったり、いたずらをしたりして、場を和ませる道化師のような役割を果たします。

表面的には楽しそうに見えますが、実際には常に他者の顔色をうかがい、心の中は不安でいっぱいになっています。

 

■プラケーター

プラケーターは日本語で「慰め役」と呼ばれ、家族が暗い顔をしていると、カウンセラーのように話を聞き、励まし、情緒的にサポートする役割を果たします。

他者のわがままにもNOを言えず、断れないため、ストレスをため込んでしまいがちです。

 

■イネイブラー

家族を一生懸命に世話し、頼られることに存在意義を感じます。

家族の問題が解決してしまい、自分の存在意義を失うことが怖いため、根本的な問題からは目を逸らし、表面的な解決ばかりを目指すのが特徴です。

参考文献

[i] Kritsberg, Wayne(1985)Adult Children of Alcoholics Syndrome: A Step-By-Step Guide To Discovery And Recovery 斎藤 学 翻訳・白根 伊登恵 訳,『アダルトチルドレン・シンドローム――自己発見と回復のためのステップ』,金剛出版

 

[ii] 日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオン アダルトチルドレン6つの役割

https://www.just.or.jp/?terminology=000877

 


アダルトチルドレンの特徴

アダルトチルドレンの自助グループである「アダルトチルドレン・アノニマス(ACA)」では、アダルトチルドレンが抱える問題として以下の13項目を挙げています。

1.わたしたちは孤立し、人や権威を恐れるようになっていた。

2.わたしたちは承認を追い求めるようになり、そうしているうちに自分が何であるか分からなくなっていた。

3.わたしたちは人が怒っていたり、何であれ個人的な批判を耳にしたりすると怯えてしまう。

4.わたしたちはアルコホーリク(アルコール依存症)になったり、アルコホーリクと結婚したり(両方の場合もある)、あるいはワーカホリックなどの他の強迫的な問題を持つ人を見つけたりして、病んだ「見捨てられ欲求」をみたそうとする。

5.わたしたちは人生を犠牲者の視点から生きていて、そういう弱さによって恋愛関係や友情関係で人にひきつけられる。

6.わたしたちは行きすぎた責任感を持っていて、自分のことに気をつかうより他人の心配をする方が簡単にできる。そうすることで例えば、自分の欠点をよく見ないですむ。

7.わたしたちは人のいいなりにならずに自分の意見を述べると罪悪感を感じる。

8.わたしたちは刺激に嗜癖するようになっていた。

9.わたしたちは愛を哀れみと取り違え、自分が哀れみ” “救える人を愛する傾向がある。

10.わたしたちは悪夢のようだった子ども時代から感情を抑え込んできて、そうするとひどく傷つくので、自分の感情を感じることや表現することが出来なくなっていた(否認)。

11.わたしたちは自分のことを厳しく裁き、自己評価が非常に低い。

12.わたしたちはとても依存的になっていて、見捨てられることを怖れ、見捨てられる痛みの感情を経験しないですむように、人との関係が切れないようにするためになら、どんなことでもしようとするほどだ。その痛みの感情は、わたしたちにとって情緒的に不在だった病んだ人たちと、一緒に生きてきたことから受け取ったものだった。

13.わたしたちは、自ら行動する人ではなく反応する人である。

ACAHPより引用;https://aca-japan.org/docs/problem.html

 

さらにACの方は下記のような問題を感じています。

 1.他人と関わるといつも疲れる。

 2.自分の発言や振る舞いを思い返してよく不安になる。

 3.自分がどうしたいのかがわからない

 4.いつも他人から良い人と思われようと気持ちを使う

 5.いつも無意識に周囲に合わせようとする

 6.完璧でなくていけないと考える一方で行動はしない

 7.一人でいたいと淋しさが混在する

 8.断れない、言いたいことは言わない

 9.人や物事への依存心が強い

10.パートナーの言動に不安を感じると怒りを爆発させる

11.いつも生きがいを求めている

ここに挙げられているように主体性を奪われ、他者を最優先に行動する傾向から、アダルトチルドレンの方は、職場やプライベートなどの対人関係でストレスを蓄積させ、心や身体に不調をきたすことがあります。

また、そのストレスを晴らすようにお酒やギャンブルなどに依存してしまうこともあるのです。


 回復までのカウンセリングでの取り組み

 

先ほどもご紹介した通り、アダルトチルドレンは「現在の自分の生きづらさが親との関係に起因すると認めた人」のことを指します。

そのため、カウンセリングでは「現在の生きづらさ」について伺うと同時に、幼少期から現在までの親との関係なども聴かせていただき、それらのつながりを辿っていきます。

また、機能不全家族で生き抜くために身に着けた信念や行動パターンを見つめ直し、これからを生きていくために適した方法を習得・実践していきます。

カウンセリングはクライエントのニーズに沿った形で進めていくのが基本です。

しかし、他者を最優先してきたアダルトチルドレンの方にとって「自分のニーズが何なのか」を見つけることも意外と難しいもの。いざ問われると「自分がどうしたいのかわからない」と困ってしまう方もいらっしゃいます。

また、カウンセラーに対して「こんなことを言ったら嫌われるのでは」と不安を感じたり、「私の話に興味がないのでは」と怒りが湧いてきたりすることもあるかもしれません。

そういった気持ちもぜひカウンセリングの場で話してみてください。

カウンセリングでは、そういった一見ネガティブな心の動きについても「なぜそう感じるのか」を一緒に見つめることで、楽に人生を生きるためのヒントに変えることができるのです。


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